源義経（人獣-061）

口承

剣術・兵法を鞍馬山の大天狗・鬼一坊に師事し、一個の武者として余人を寄せつけず、一軍の将としても大胆な差配で敵を翻弄したと言われる、伝説の英傑よ。
のちに軍閥の長である兄に疎まれて、一族郎党を討伐された悲劇の英雄――とも云われているようね。
けれど、彼の勇名が一将のみのそれに収まりきらなかったことと同じように、彼の器量は、自身を悲劇の主人公のみに留めることは許さなかったみたい。
彼は死地を逃れ、北方から大陸に渡り、その後は中原において「孤高の狼王」と呼ばれる存在にまでなったわ。
彼は、どこまでいくのかしら……。己にまつわるすべてを偏狭な島国に捨ててきた、孤独と共に。