サロメ（不死-034）

口承

サロメはアポカリプトにおいて、聖地と呼ばれる場所にあった国の王女です。
彼女は城に幽閉されていた男に恋をしたのですが、その男は既に身も心も捧げている相手がいた為、彼女には見向きもしませんでした。
故に、せめてその男の一部だけでも手に入れようと考えた末、男の首を欲したそうです。
選んだ部位が首だったのは、感覚器が集中している上に脳まで含まれているという、得失の最大比率を見込んでの事と思われ……いけませんね、私には縁の無い「男女の仲」なるものを、私に理解できる形に落とし込もうと試みる自体、意味の無い行為でした。彼女は、私のような機械生命体の推測が及ばないほど、複雑な感情の持ち主だった。そういう事なのでしょう。