ラーミア（海種-049）

口承

我が友、シュバリス。お前はいつも頼りになる相棒だった。
その最期の瞬間まで……。
あの日、月面都市の守護者を任じる我々は、卑怯な襲撃者の不意打ちに遭った。通信網を寸断され、私は致命傷を負い、シュバリスも機能停止寸前に陥った。無念に瞼を閉じた私は主観時間で次の瞬間、変容した姿で目覚めることになる。
我が友が、自らの体部品を使って私を生かしたのだ。
今の私にはふたつの命が宿っている。
彼と私の記憶素子は一体となって現在の人格を成している。彼は言うのだ。我に全き死を。卑劣な不意打ちなどによってではなく、知力と膂力のすべてを使い果たしてなお敵わぬ敵を相手に、得心のゆく死を。私も同感だ。
さあ行こうシュバリス、最良の死に場所を求めて。